水なしで、お薬だけを飲んでも大丈夫ですか?



飲み薬は、コップ1杯程度(200ml前後)の水やぬるま湯と一緒に飲むことが原則となっています。

水なしで飲むと、くすりがのどや食道にひっかかることがあることがあります。コップ半分ぐらいの少ない水で、カプセル剤を二つ飲もうとすると、およそ30%の人が食道に詰まらせてしまいます。食道でくすりが溶け出すと、粘膜を傷つけ、ときには潰瘍や出血を起こすこともあり、とても危険です。

また、くすりは水に溶けることによって、腸の粘膜から吸収されやすくなり、効果を発揮することができますので、多めの水(250ml)と少なめの水(25ml)で飲んだ場合を比較すると、多めの水のほうがくすりが十分に溶け、血液中の濃度が高くなり、それだけ効き目もよくなります。とくに抗生物質や解熱鎮痛剤などでは、この傾向が強いので、水をたっぷり飲むことが必要です。

水やぬるま湯以外(例えばコーラや牛乳)でお薬を飲んでもいいですか?


水やぬるま湯がないときに、それ以外のものでくすりを飲んでもいいかどうか、これはなかなかむずかしい問題です。というのも、くすりと飲み物の種類とによって、影響の程度が違うからです。

一般的には、水やぬるま湯以外のものでくすりを飲むと、吸収が遅くなり、効き目も弱くなるという傾向がみられます。たとえば、解熱鎮痛剤のアスピリンを、コーラと一緒に飲むと、水で飲んだときよりも明らかに効き方が遅くなることがわかっています。

では牛乳は、どうでしょう。アスピリンはときに胃を刺激するので、牛乳で飲むと、むしろ胃の保護になるという効果があります。ところが反対に、便秘薬のなかには、牛乳で飲むと、効き目がなくなってしまうものもあるのです。便秘薬は、その目的からいっても腸で効いてほしいわけですが、牛乳を飲むと胃酸を中和するので、胃で溶けてしまうからです。こうした便秘薬には、市販のものでも、牛乳で飲まないようにと注意書きがあるはずです。
 
ジュースは、子供に飲ませるぐらいだから大丈夫と思っている人もあるでしょう。
 ところがグレープフルーツ・ジュースの場合、苦味の成分フラボノイドが、とくに血圧を下げるくすり(カルシウム拮抗剤)や花粉症のくすりの作用を強くして、効き過ぎてしまうことが知られています。
 
またコーヒー、紅茶、日本茶などに入っているカフェインには、興奮作用があります。鎮静剤をこうした飲み物と一緒にとることは、まったく逆効果になるのでやってはいけません。

そのほか、牛乳に含まれるカルシウム、ジュースの酸、お茶のタンニンなども、くすりに影響することがあります。

このように、くすりと飲み物の関係には、複雑なものがあります。したがって、くすりはやはり水かぬるま湯で飲むようにし、そのほかの飲み物は、どうしてもやむをえない場合にとどめておくべきです。


くすりは常温で保管すればいいのですか?


くすりは、みんな同じようにくすり箱に入れておけばいいと思いがちですが、実際には種類によって保管方法が違います。熱や光に弱い坐剤や子供用のシロップ剤、それに開封した目薬などは、冷蔵庫に保管します。ただし、坐剤やシロップ剤は子供が間違えて食べてしまったり、飲んでしまうこともあるので、かならず注意しておく必要があります。

錠剤・カプセル剤・散剤などは、坐剤ほどではありませんが、やはり高温・多湿・直射日光は苦手です。したがって、その逆の場所、つまり湿気の少ない冷暗所(温度が低く、日の当たらない所)が、よい保管場所ということができます。くすり箱も、そうした場所を選んで置くようにします。

くすりの保管温度は、摂氏30度以下、理想的には摂氏15度以下(ただし、凍結する場所は不可)とされています。温度が10度上がると、くすりが分解・変質する速度は2〜3倍にもなります。なかでも最悪なのは、常備薬などをマイカーに置いているケースです。夏の盛り、炎天下の車内は摂氏50〜80度もの高温になります。くすりにとっては、もっとも過酷な状態です。間違っても、車のなかにくすりを置きっぱなしにはしないことです。

保管場所でもう一つ気を付けたいのは、幼児の手の届かない所に置くこと。幼児は、何でも口に入れる傾向があります。くすりと食べ物の区別もつきません。くすりの袋や瓶を、テーブルのうえに置き忘れたりすると、幼児は食べ物と思ってフタを開け、大量に飲んでしまうことがあります。

家庭のなかでの、こうした誤飲事故は非常に多く、幼児はくすりに対する解毒能力が弱いため、重大な薬物中毒を起こすことも少なくありません。くすりの管理だけはしっかりしておきたいものです。


くすりにも賞味期限はありますか?


市販のくすりは、製造してから3年程度は保存できるように、安定性の高い成分を使用しています。たいていのくすりは、箱に使用期限(有効期間)が印刷されているので、まずそれを確認してみましょう。あと2年あるから大丈夫?ところが、使用期限というのは未開封で、かつ保存状態がいい場合でのこと。箱を開けて使用したものは、1年以上たっていたら思い切って捨ててしまうほうが安全です。使い始めたとき、その年月日を箱に書いておくと、忘れる心配もありません。とくにシロップなどの液剤は、変質しやすいうえ、子供が飲んでしまう危険性もあるので、残ったものを置いておかないほうが無難です。

病院の処方薬は、市販薬のように長期の保存を考えてつくられてはいません。効き目が強い分、古くなって変質したときの副作用にも問題があります。
 あとで同じ病気にかかったときに、使えるようにと考えて、とっておく人もあるでしょう。ところが同じ病気といっても、かぜ一つでも症状が違うように、処方されるくすりも異なります。自己判断で、強いくすりを使うのは、とても危険なことなのです。市販薬が、保存のきくインスタント食品とすれば、病院のくすりは、刺身のようなナマモノと同じ。そのくらいに考えておけば、間違いありません。